SRフォーラム2012 分科会3A 多様性豊かな、誰もが排除されない社会のために私達ができること

こんにちは、社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク事務局です。

引き続き、5/17・18に開催いたしました「5/17-18 SRフォーラム2012―社会的責任(SR)から社会的信頼(SR)へ」のレポートを掲載していきます。

続いて、分科会3A 多様性豊かな、誰もが排除されない社会のために私たちができる具体的なこと~調査・比較・課題解決に向けたアクション 「ともに生きる社会の形成ワーキンググループ報告」分科会

についてです。

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発表者:
加来栄一(日本労働組合総連合企画局長 コーディネーター)
吉田拓野(内閣府政策統括官付参事官付参事官補佐)
矢野洋子(東京消費者団体連絡センター事務局長)
横田能洋(NPO法人茨城NPOセンター・コモンズ事務局長)

「ともに生きる社会の形成ワーキンググループ」とは、『社会手責任に関する円卓会議』で採択された「わたしたちの社会的責任宣言」の実践を目的として、他の3つのワーキンググループと同じく2010年5月に設置されました。「命の尊重、多様性への配慮ある社会づくり」をテーマに、マルチステークホルダーで構成されるワーキンググループ(以下、WGと表記します)です。
東日本大震災が発生した2011年3月、「ともに生きる社会の形成」のための行動計画を策定し、その後は有志のメンバーで、「暮らしやすさの指標づくり」と茨城県での地域円卓会議という2つの実験的試みを進めています。分科会3Aでは、NPO、連合、政府、消費者団体の有志メンバーにより、取り組みの報告をおこないました。

最初に、WGの座長を務めていただいていた加来さんより、これまでの活動について振り返りがありました。
「日本社会で普通に生活することにハンディのある人もいる。障がいがあったり、高齢だったり、外国人、シングルマザー、子ども達、ひとり一人が『ここで暮らしていてよかった』と思える社会の状態とはどんな社会かを探している」「そのためには、マルチステークホルダーで考えることが有効。自分達のいる地域で、どのように地域版のマルチステークホルダー・プロセスをどう作っていくかも課題」とWGの活動主旨が語られました。

吉田さんからは、現在、作成途中の「暮らしやすさの指標」について報告。ブータン王国の幸福度の高さなど、類似の指標が度々話題になりますが、それらの指標との違いとして、WGでは「多様な人々とともに生きる」、「社会的に排除のない社会」を目標としているところと、「多様な働き方」があり、本人の意志で選択することができる、新しいチャレンジも可能な積極的な社会をイメージしているところの2点を語っていただきました。
「指標」の使い方については、フロアからも活発なご発言をいただき、「指標が独り歩きしては怖い」等のご意見も、指標づくりを進めていくにあたってとても有益な対話でした。

社会課題の調査は、課題の「見える化」にとどまらず、解決策の模索、アクション、取り組んだ成果の振り返りにつなげなければなりません。
消費者団体として、消費者窓口の地域格差の調査や、消費生活センターの人口カバー率を調査してきたご経験から、矢野さんからは調査事例とそのPDCAサイクルをご紹介いただきました。単に結果の比較は目的ではなく、地域による違いがわかることが自分達の地域に関心を持つきっかけになり、自分達の地域をもっと知ろうということになるのが大事。調査をつうじて、生活者、消費者が自分達の「社会の改善」に積極的に参加することを促進しているというお話がありました。

NNネットの会員団体でもある(特活)茨城NPOセンター・コモンズの横田さんからは、茨城県内での震災被害支援にあたって、これまでの地域円卓会議のつながりが活かせた、マルチステークホルダーで動いたことが効率的だったという事例をお話いただきました。また、横田さんは、2、3年前から地域のブラジル人の方を支援されていますが、外国人と福島からの自主避難の抱える問題がとても似ているという気づきから、地域のデータがあると問題をキャッチしやすく、解決策も共有できるかもしれない可能性と、そのためには、指標をつくること自体を目的にしないで、地域の変化が見える指標を見つけることが大事なのではないかとのご指摘をいただきました。

最後に、再び加来さんより、マルチステークホルダー・プロセスへの期待と可能性について述べていただき、これからもみんなで力を合わせたい、ぜひご協力をと、SRフォーラムにふさわしい呼びかけで分科会を閉めていただきました。