草の根の市民の声を集め、他のセクターとの対話と協働を進めながら、自らの力で社会問題の解決を目指す日本のNPO/NGOは、今、新しいステージに進むことを求められ始めています。

国際社会では、CSR(企業の社会的責任)の国際規格づくりとして検討がスタートしたISO26000は、企業だけでな く全ての組織に関わる規格であるべきだとして「組織の社会的責任Social Responsibility」の議論へと発展し、引き続き検討作業が進められています。NGO、政府、産業界、消費者団体、労働組合、専門家その他から なる「マルチ・ステークホルダー」による検討プロセスが進行しており、日本でもマルチ・ステークホルダーによる国内委員会が組織されています。

日本国内においても政府機関、産業界、労働界などで「組織の社会的責任」への関心が高まりを見せており、政府、市場、市 民社会が互いの役割を果たしながら総体として社会的課題を解決する「新しい公」の具体的な形として、社会的責任に関するマルチ・ステークホルダーの円卓会 議を立ち上げようとする動きが見られます。

他方、NPO/NGOが組織として発展するにつれ、我々自身も、情報公開、説明責任や雇用など、組織としての社会的責任をより一層自覚し、対応することが求められてきています。

これまでも日本のNPO/NGOは、個々の組織あるいは関係者個人として、市民の声を各種の制度に反映させ、市民の理解 を促進する役割を果たすとともに、積極的な情報公開にも取り組んできました。ISO26000のプロセスについても、2006年12月から、有志による意 見交換会を開いてきました。

しかし、NPO/NGOが社会の一員(ステークホルダー)としてこのようなプロセスに意見を反映させることを考えたと き、ネットワークとして他のセクターと対話する態勢はまだまだ弱いのが現状です。この新しいステージの社会的役割を本格的に果たすためには、志を持つ広範 なNPO/NGOの組織的参加による開かれたネットワーク組織を設立することが必要です。

この求められる役割を担うために、私たちはここに「NPO/NGO社会的責任向上ネットワーク(略称:NNネット、英語 名:NGO Network for SR Initiatives, Japan)」を設立し、NPO/NGOの自発的な参画と連携を通じて、セクター間の対話を促進し、市民セクターの定着と社会的な位置づけの向上を目指す とともに、あらゆる組織が社会的責任と信頼を高め、住みよい社会を創造することを目的として、そのために必要な諸活動を行っていきます。