SRやISO26000について皆さまからよくいただくご質問とその答えをまとめました。NNネットが出版している書籍『策定に関わったNPOが読み解くISO26000』『これからのSR―社会的責任から社会的信頼へ』(どちらも頒価298円)に分かりやすくまとめてありますので、より詳しく知りたい方はぜひ書籍をご購入ください。

SRに関する用語について

Q1. SR(社会的責任)とはなんですか?

A1. 企業だけでなく、社会の構成メンバーであるあらゆる組織に求められているものです。社会の問題解決には多様なステークホルダーの関与が必要であり、政府や企業など大きな影響力を持つ主体に限らず、あらゆる組織が自らの責任を果たし、社会的責任を社会で共有する必要性が求められています。

Q2. CSRとSRはどうちがう?

A2. CSR(企業の社会的責任)とは、企業が経済的な利益追求だけではなく、環境・社会に対する責任や貢献に配慮し、企業活動を行うことです。「Corporate(企業)の」とされるとおり、CSRの対象は営利企業です。これに対し、SR、すなわちCの取れた社会的責任は、営利企業に限定されず、NGO・NPOなどの非営利組織を含むあらゆる組織を対象としたものです。CSRとSRの違いは、行動主体が企業かあらゆる組織かのみであり、求められる行動・責任に違いはありません。

Q3. マルチステークホルダープロセスとはなんですか?

A3. 背景の異なる複数の関係者(ステークホルダー)がテーブルを囲み、課題解決のための行動計画や目標についての合意形成を行っていく枠組みやその過程のことを「マルチステークホルダープロセス」といいます。利害が複雑に絡み合い、また幅広い分野にわたるSRの議論においては欠かせない議論の方法です。

ISO26000について

Q4. ISO26000とはなんですか?

A4. ISO(国際標準化機構)が2010年11月1日に発行した、組織の社会的責任に関する国際規格です。ISO26000の開発にあたっては、ISO企画としては初めてマルチステークホルダープロセスがとられました。ISO26000には、7つの原則と7つの中核主題が掲げられており、組織は、社会的責任の原則と中核主題の両方を尊敬すべきであると書かれています。

Q5. どうしたらISO26000の認証がとれますか?

A5. ISO26000は第三者認証を目的としないガイダンス文書です。つまり使用者のための手引きを示すものであり、認証のために使用することは適切ではありません。ISO26000の認証を授けると提案したり、又はISO26000の認証を受けたと主張したりすることは、この規格の意図や目的から考えると不当であり、規格の誤用です。

Q6. ISO26000にどのように取り組んだらいいですか?

A6. ISO26000はガイダンス文書ですので、部分的に取り組むことも可能です。

この規格で挙げられている7つの中核主題は多くの課題から構成されています。すべての中核主題や課題は、相互に関連する点もあり、またあらゆる組織と関係するものです。しかし、個々の組織の性格や規模、おかれている環境などによってどの中核主題やそこに含まれる課題がその組織にとって最も関連性が高いかは異なるでしょう。
まずは自組織について振り返り、取り組みが不足している課題と、その中での優先順位を探してみてください。全部の主題を見た上で、関連の強いものから取り組んでいけばよいでしょう。

NPO/NGOにとってのSR

Q7. NPO/NGOにとってのSRとは?

A7. NPO/NGOの活動は社会に必要とされているでしょうか。自己満足におわらず、地球の課題や地域の課題は解決に向かっているでしょうか。NGO・NPOへの社会的な期待がますます大きくなる中、私たちは社会的な存在として、「組織の社会的責任」を求められています。ひとりひとりが、持続可能で安心して暮らせる社会の構築のために、私たちNGO・NPOは社会から信頼される存在でなければなりません。なぜ、本来活動とは別にSRまで果たさなければならないのか?そんな問いかけには、「信頼」を得るためだと言い切っても大げさではないでしょう。

Q8. NPO/NGOがSRに取り組むとどんないいことがありますか?

A8. NGO・NPOがSRに取り組むと、まず、社会的信頼が増します。SRに積極的、主体的に取り組むことにより、信頼を得るNPOとして成長することができます。そしてミッションの見直しの機会を作ることができ、より時代のニーズにあった、また、未来のニーズにかなった具体的なミッションが作成できます。また、社会課題を俯瞰(ふかん)でき、自団体のミッションのみならず、他団体の社会的課題やミッションに気づくことができます。

Q9. NPO/NGOはどこからSRに取り組むべきですか?

A9. SRは「ゼロ」から新たに取り組むというものではありません。みなさんの団体でもおそらく、すでに何らかのSRに取り組んでいます。まずは現状を確認し、今までの組織運営にSRの視点が入っていることに気づいたら、あらためて「SR」の視点から組織運営の振り返りと課題の洗い出しをおこないましょう。取り組むべきSR事項に優先順位をつけることも大切です。