「地域円卓会議フォーラム」(2014.2.20)開催報告

地域円卓会議フォーラム2014/2/20in横浜

「地域円卓会議フォーラム2014」報告
2014年2月20日(木) 場所:かながわ県民センター 主催:NNネット

2014年2月20日(木)、かながわ県民センターでNNネット主催の「地域円卓会議フォーラム2014」が開かれました。全国から、地域自治体、NPO、支援センター、学生の方など、それぞれ地域円卓会議に関心を寄せる80名を超える方がご参加くださいました。当日の様子をご報告します。

はじめに、「地域円卓会議」というアイディアが生まれた場とも言える「社会的責任に関する円卓会議(SR円卓会議)」に取り組んでこられた、連合の川島千裕さん、消費者グループの古谷由紀子さんよりご挨拶を賜りました。

政権交代など、SR円卓の荒波の時代を超えてこられた川島さんは「円卓会議を通して、地域でのつながりがより深まれば」と話してくださいました。SR円卓会議のホームページにアップされている「暮らしやすさの10の指標」もご紹介くださいました。

「社会的責任円卓会議が開催されなければ、NPOセクターや労働セクターと何かに一緒に取り組むことは考えられなかった。話し合う場が生まれたことは非常に意義があること」と話してくださった消費者グループの古谷さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■地域円卓会議は、なぜ、どう拡がったか

続いて、地域円卓会議の拡がりについて、地域課題の解決に対話と協働で取り組んでいるIIHOE(NNネット幹事団体)の川北秀人さんより説明がありました。
発表資料はこちらから→chiikientaku_forum
(参考資料)「地域円卓会議」のススメ

地域の課題を解決するために、1対1の関係で責任や業務を分担する“誤った協働”ではなく、多様な主体による協働“総働”の必要性が高まってきています。今回の「地域円卓会議フォーラム2014」では、それぞれの地域で円卓会議に取り組んでおられる茨城県、秋田県横手市、島根県雲南市、沖縄県の事例をご紹介いただきました。

■地域円卓会議in茨城の経過について
SR円卓会議2010年度の協働プロジェクトとして、日本初の「地域円卓会議」が開催された茨城県の取り組みをご紹介くださったのは、茨城NPOセンター・コモンズの横田能洋さん。最初は前例がなく苦労しましたが、とにかく集まってやってみようと、企業・労組・経済団体・NPOの関係者が集い、会議を重ねました。自由な発想を重視するため、代表性にこだわらない形で進め、議論だけではなくいかに実践につなげるかはこだわったそうです。半年間で10回の会議を経て、「農業の支援と新たな仕事づくり」「新しい公を広げるための地域資源循環」「公共交通活性化と買い物・外出支援」の3つをテーマに決定。円卓会議を通じてつながりが生まれたことで、2011年3月11日に起こった東日本大震災では、現地情報の提供や支援先との連携、ボランティアバスの運行など、迅速に対応することができました。その後も3つのテーマについてそれぞれ取り組みが進んでおり、さらに発展形として「新しい公共フォーラム」「定住外国人との共生に関する連続円卓フォーラム」「フューチャーセンターセッション」といった活動も始まっています。
 発表資料はこちらから→140220_ibaraki

■「高齢・過疎地域」における 共助力アップ支援事業〈横手モデル〉

続いて秋田県南NPOセンターの八嶋英樹さんが、雪深い地域で深刻化している課題解決のための協働についてお話しくださいました。少子高齢化が日本一の秋田県では、これまで個人や家庭で普通にできていた雪おろしや雪よせが難しくなってきています。行政だけ、地域だけで対応するには難しいこの問題を解決するため、2011年10月から2013年3月まで、内閣府の「新しい公共支援事業」による『高齢過疎地域における共助力アップ支援事業〈横手モデル〉』を実施。4つのモデル地区で初めて説明会を開催したときは、地元の方々は「一体何をしにきたんだ」という不安な表情だったと言います。しかし、NPO主導のワークショップや仙北市田沢地区で除雪への取り組みの視察などを重ねるうちに、地域の方々にも徐々に変化が現れ、2013年秋ごろには、各モデル地区に地元の方を中心とした共助組織が設立されました。12月からは、雪よせサービス、雪下ろしサービス、通院・買い物送迎サービスを開始。地元の方からも、「知り合いの方が作業してくれるので安心」「地域組織が出来て依頼しやすくなった」など好評の声をいただいています。
 発表資料はこちらから→140220_akitakennan

■雲南市の「地域自主組織」と地域円卓会議
島根県雲南市の板持周治さんは、行政の立場から地域円卓会議を始め、協働に取り組んでこられました。雲南市では、市民が地域の課題に主体的に関わる場を作るため、2005年から2007年にかけて住民発意で「地域自主組織」が設立されました。市内全域にある地域自主組織の規模は、200人から4000人を超えるものなどさまざまです。この取り組みを通して小規模多機能自治が進展し、「どうして行政がやってくれないの?」から、「なんでやらせてくれないの?」という当事者意識に変わってきたと言います。さらに地域と直接的に・横断的に・分野別で協議するため、2013年度から本格的に地域円卓会議を導入しました。雲南市では、地域円卓会議は組織ではなく、「会議」のツールとして使っています。地域円卓会議をはじめたことで、これまでの“地域VS行政”といった構図ではなく、“地域&行政”で、参加者がみな対等に意見を交わすことで理解を深め、認識を共有することができていると言います。これまでにテーマ別に3回実施した円卓会議で感じたこととして「お互いの顔が見え、意見交換しやすくする上で、机の配置(円形)は想像以上に重要」また、「人数は多すぎない方がいい」など、具体的なコメントもいただきました。
 発表資料はこちらから→140220_unnanshi

■沖縄式地域円卓会議について
沖縄から駆け付けてくださったみらいファンド沖縄の小阪亘さんは、2011年から13のテーマで開催した地域円卓会議についてお話しくださいました。「沖縄式」地域円卓会議の特徴の一つは、テーマを「困りごと」に絞っていること。困っていることについて当事者意識を持って具体的に話すことで、会議のその後の展開につながることができるそうです。また、「沖縄式」二重円卓会議では、着席出席者に仲間をつれてきてもらい、サブセッションの時間では仲間と話し合う場も設けています。また、会議で話しっぱなしにならないように、記録者も毎回きちんと設けているそうです。これまでの事例として、2012年6月に「災害等の停電時の在宅介護家庭における課題のため、どんな協働が可能か?」というテーマで行った円卓会議を紹介。「円卓会議プログラムを定型フォームに(パッケージ化)したことで、適宜バージョンアップしていけるのがいい」と話す小阪さん。会場で販売した「『沖縄式』地域円卓会議開催マニュアル」もご紹介くださいました。
 発表資料はこちらから→140220_okinawa
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■4つの地域で、いま困っていることは?
パネルディスカッションでは、4つの地域で「いま困っていること」を挙げていただきました。

茨城の困りごとは、「色々なセクターに議論に入ってもらいたいが、担当者が変わると取り組みが止まってしまうことが多く、会議を定例化できていない」ということ。「皆が『こういうことに困っている、一緒に解決してほしい』と言いだしやすい関係を作っていきたい」とのことです。
沖縄からは、会議の場の設定と円卓会議の説明に時間がかかること、「主体なき困りごと」が寄せられるようになってきたことの2点を挙げていただきました。誰も引き受け手がいない問題については議論が難しいため、雲南市のような取り組みも検討していきたいと話してくださいました。
秋田では(“雪が多いこと”は除いて)、雪対策の活動は充実していきているが、雪以外にも何か取り組めないか、どのようにシフトしていけるかがまだ分からないと言います。雪以外の独居老人の見守りや空き家の管理などの課題にも、話し合いの場を持ちながら、取りまとめる人の負担が大きくなり過ぎないように取り組んでいきたいとのことです。
雲南市からは、議会からの制約のため、一回の会議のために準備期間やその後の調整など時間がかかり、多くの会議が設定できないことが挙げられました。

■分科会・ディスカッション
分科会では4名のゲストスピーカーの周りに円卓で集まり、活発な質疑応答が行われました。そのうちの一部をご紹介します。

□秋田県南NPOセンター 八嶋英樹さん
Q.自治会は大きな壁になっていますか?
A.自治会長も手を挙げて、自分たちでやろうという思いが強い方が自ら動いてくださいました。

Q.雪おろしにかかる費用は?
A.サービス提供者にお金をきちんとお支払いする形で、継続性を担保しています。

Q.雪おろしをやっている人はどんな人たち?
A.「お助け隊」は60代が中心。女性も入っており、活気があります。メディアで取り上げられたことで外部からも入りたいという声がありましたが、現在は基本的には地域の人。これから外からの受け入れも検討していきたいです。

□みらいファンド沖縄 小阪亘さん
Q.円卓会議に来てもらうために、企業との関係づくりはどうしたのか?
A.まず自分が青年商工会議所に入りいけにえになったことで(笑)、関係を作りました。

Q.テーマはどうやって選ぶのですか?
A.公募はしません。最近は持ち込みのテーマが増えてきましたが、自分たちで探すという姿勢も忘れず取り組んでいます。参加者全委員でテーマを深めていく形をとっています。

Q.「こうしたテーマはやめた方がいい」というのはありますか?
A.特にありませんが、「地域活性化」のような具体的でないテーマはよくないです。困りごとを選ぶと議論が進みやすいと思います。

□島根県雲南市 板持周治さん
Q.ファシリテーションは誰が行うのですか?
A.雲南市では行政がやっています。来年度、初めての中間支援のNPOが設立されるので、その団体をファシリテーターとして育成していく予定です。

Q.地域間、行政の職員間で温度差はありますか?
A. 皆が同じ意識を持って関われるように、話し合いを重ねながら温度差をなくすようにしています。「誰かがやってくれる」という姿勢ではなく、皆地域の課題に関わっていく気持ちを持てるまちづくりに取り組んでいます。

□茨城NPOセンター・コモンズ 横田能洋さん
Q.キーパーソンはどうやって見つけるのですか?
A. 普段からたくさんの人とのかかわりを大切にしています。立場に関わらず、おもしろそうだな、と思った人は追いかけて関係を作るように心がけています。

Q. 「円卓会議は演出家が必要である」とは?
A. 団体の代表者などでなくても、テーマに詳しい人や話し合いに参加できる人をたぐっていく「キャスティング」が重要です。会議の結果として前向きなストーリーを3つくらい考えておくことも必要です。

Q. ネットワークのメンテナンスが大変では?
A. どんな小さなことでも、事業をひとつ作ると、皆が関わってくれるようになっていきます。取りまとめてくれる人だけに負担がかからないようにメンテナンスする必要があります。

■地域円卓会議ひろがれ宣言
最後に、IIHOE川北氏から提案のあった「地域円卓会議ひろがれ宣言」を満場一致の拍手で採択し、フォーラム終了となりました。
 「地域円卓会議ひろがれ宣言」(全文掲載)

 「安全・安心で持続可能な社会を実現するためには、多様な主体が補完し合うことで、それぞれが役割を発揮しやすい環境を作り出すことが不可欠なのです」。

そう宣言して生まれた「社会的責任に関する円卓会議」が発足して、まもなく5年を迎えます。

その後、東日本大震災はもとより、さらなる少子高齢化の進展や社会・経済の変化の中で、多様な主体による対話と協働は、さらに重要性を高め、また、その実践も着実にひろがっています。

私たちは、小さな地域でも、大きな社会でも、多様な主体による対話と協働が重要かつ有効であることを確信し、「地域円卓会議」をはじめとする実践や試みが、地域を超えてひろがり、共有されることを願って、ここに宣言します。

2014年2月20日

地域円卓会議フォーラム 参加者一同

困りごとこそが人を集め、その解決のために皆で持ち寄った知恵が実り、結果が見えたときにはじめて「やってよかった」という満足感と、次へのモチベーションも生まれます。まずは小さな規模で構わないので、是非みなさんの地域で円卓会議を開始し、「『地域円卓会議』のススメ」のFacebookページでご報告ください。
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