「社会・責任あいち」の活動について~小規模なNPO/NGOのSRの取り組みを持続可能なものに~
「社会・責任あいち」は、愛知県内に活動拠点を置くメンバーで構成する任意団体です。活動の中心メンバーは現在6名(新規メンバー募集中です!)。2014年の立ち上げの年に、あいちモリコロ基金から費用助成をいただき、NPO/NGO向けの「SRワークブック」を作成しました(写真)。自組織でSRに取り組むときのチェックリストや、勉強会や研修にも使えるワークショップの紹介などを載せており、実践的なツールとして好評をいただいています。
2017年からは、年に3回の予定で「SRサロン」を開催しています(7月と10月の開催記録がウェブサイトに載っております。以後もご案内含めて掲載予定。ぜひ、ご一読くだされば幸いです。)。このSRサロンでは、毎回、SDGs(国連が定めたSustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の17の目標から2つずつをテーマにとりあげ、愛知県内で関連のある活動をされているNPO/NGOの方をゲストスピーカーにお招きし、活動にまつわるお話を伺ったあと、参加者も交えてディスカッションをしています。さまざまな視点・テーマでSRを取り上げて学びながら、この地域ならではの情報を参加者と共有するとともに、SRをキーワードに、愛知県内で分野を超えたゆるやかなネットワークをつくることを目的としています。
活動の経緯(今の活動への道のり)について
わたしたちの活動のきっかけは、2010年に、SRに関する国際規格「ISO26000」の勉強会を始めたことです。それ以降、Facebookなどで一般の方にも参加を呼びかけながら、隔月に1回程度のペースで勉強会を続けてきました。「組織統治」「労働」……と、ISO26000の中核課題に沿ったテーマ設定をして、毎回、メンバーの誰かが話題提供者となるなど工夫もしました。
この会を地道に続けてこられた理由のひとつは、そこが、ただ学ぶだけの場ではなく、SRを自組織や自分の活動にひきつけて具体的に考え、参加者が分野や立場を超えて率直に話し合うことのできる場になっていたからだと思います。それぞれの組織や活動分野で発生した困りごとを事例として話し合うこともしばしばあり、自組織の改善につなげるなど実践的な効果もありました。その時間をとおして、サポートし合える関係性や分野横断的なNPO/NGOのつながりを築けたことが、今の活動にも大きく活かされていると感じています。
これからの活動へむけて
SRは、社会課題を解決するために存在するNPO/NGOにも欠かせない視点であるとともに、組織を閉じたものにせず、他の組織(ステークホルダー)や社会に開いていく営みです。しかし、日々のマネジメントや目の前の受益者のことで手いっぱいになりがちな小さな組織がSRに取り組み続けるのは、その重要性は分かっていても簡単ではありません。だからこそ、SRに対する共通認識をもち、狭くなりがちな視野を広げてくれ、ときにはサポートし合えるフラットな関係を自組織の外に作れることが、小規模なNPO/NGOの取り組みを持続可能なものにするには有益なのだと考えています。
社会・責任あいちは、メンバー全員が本業をもちながらの活動なので、ときに歩みが停滞することもありますが、自らの実践と経験をもとに描いてきたミッションを強く共有しています。微力ながら、愛知県内でSRを広げる一助となるための活動をこれからも続けていくつもりです。ぜひ、引き続き皆さまのご支援とご教示、活動へのご参加をいただければ幸いです。
(中村奈津子)