イベント報告:「ISO26000発行2周年フォーラムinジュネーブ」参加報告会

2012年12月18日(火)、NNネット主催の表記報告会を開催いたしました。NPO/NGOセクターだけでなく、自治体、企業など他セクターからも多数ご参加いただき、会場は約30名の参加者で埋まりました。

(開催概要についてはこちら)
http://ameblo.jp/sr-nn/entry-11415426008.html

冒頭に、司会のNPOサポートセンター(NNネット幹事団体)、小堀さんから開催趣旨を述べたあと、会場を一巡して、全員が一言ずつ自己紹介を行いました。次に同じくNNネット幹事団体のAAR Japan[難民を助ける会]、堀江さんから、ISO26000の策定と普及へ向けた、NNネットのこれまでの取り組みについての概要説明がありました。

本題となるオープンフォーラムへの参加報告については、日本からの参加3名のうち、日本ILO協議会編集企画委員の熊谷謙一さんと、ソニー株式会社CSR部統括部長の冨田秀実さんからお話をいただきました。2日間のオープンフォーラムへの参加者は300名以上、約半数が策定に関わったワーキンググループの経験者だったそうです。発行から2周年を経たISO26000は、日本を始めとして既に60カ国が採用(+20カ国が計画中)し、26ヶ国語に翻訳されています。熊谷さんのお話では、独自の評価ツールを開発したフランス・オランダや、動物愛護といったプラスアルファの要素を加えてマネジメント認証規格を策定したデンマークなど、具体的な取り組みの好事例も次々と出ており、引き続きISO26000の活用は世界的にすすむことが予測されるとのことでした。

「社会的責任、国際行動規範、ステークホルダーダイアログ、影響力の範囲」といった新たなコンセプトが国際的に認知されるきっかけとなったISO26000は、一方で、「ガイダンスであるがために使いにくい」「少数だが間違った活用事例が出ている」などの課題も抱えています。熊谷さんに続いて報告された冨田さんは、こうした、これまでの成果と課題に触れたあと、2013年には規格見直しに向けての議論が活発化すると思われ、今後さらに、マルチステークホルダーで経験やツール、アイデアを共有し、ISO26000の認知と活用を促進する必要がある、と締めくくられました。

最後に、フォーラムのもう一人の参加者である、CSOネットワーク(NNネット幹事団体)の黒田かをりさんがコーディネーターとなって、フロアディスカッションを行いました。「日本ではどのようにISO26000を展開していったらよいか」という話題では、各セクターが行っている取り組みを共有し、マルチステークホルダーで使えるツールの開発をするなどのアイデアが出されました。また、日本は策定には尽力したものの、その後の発信と活用の広がりが十分とは言えない状況であり、もう一歩踏み込んだ取り組みへの期待も上がりました。もうひとつ、ディスカッションでは「ステークホルダーエンゲージメント」についての議論もありました。CSR報告書などで良く見られるような、第3者意見の掲載や座談会の開催をもって「ステークホルダーと十分にエンゲージメントできている」とは言えない、という意見には多くの方が頷いていましたが、同時に、「日本ではステークホルダーからの良い意味でのプレッシャーが少なく、互いの緊張感を持った関係性作りが弱い」という意見も非常に納得のいくものでした。

ISO26000の今後の普及というと、とても2時間では議論が足りないテーマですが、今回は情報も盛りだくさんで、たくさんの活動へのヒントをいただく時間になりました。セクター間での情報共有とネットワークも広がり、更なる動きに期待ができる報告会となりました。

フォーラム報告は、ISO本部のウエブサイトにも掲載されています(英文)。
http://www.iso.org/iso/home/news_index/news_archive/news.htm?refid=Ref1675