SRフォーラム2017 in 東京 開催報告

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2017年5月23日、「SRフォーラム2017 in 東京」を開催しました。昨年度に続き、NNネットが2017年度に重点的に発信していくSRに関するトピックについて、「予告編」的にその導入を図る趣旨で盛りだくさんの内容となりました。以下、その様子をお伝えします。

トークセッション トピック

A:持続可能な開発目標(SDGs)
B:ビジネスと人権
C:社会的責任調達(ISO20400)

第2部:SRカフェ(情報交換会)

第1部:トークセッション

【A:持続可能な開発目標(SDGs)】

●板谷伸彦さん(日本生活協同組合連合会 組織推進本部 環境事業推進部長)

生協でもSDGs 17目標全部について、何らかの関わりを持って活動している。

生協活動の前提である、起点としての「自分ごと意識」は生協活動の王道だと思う。牛乳パックの回収やレジ袋の有料化など、社会の問題をくらしの問題として捉えて、これは自分のことだと思った一部の組合員が起点になってことが始まり、それを仕組み化して参加のハードルを下げることによって多くの組合員が参加できる状態をつくり、地域の多くの人々に広がっていっていろいろな団体との協働が始まって社会の仕組み化がされるという流れが普通だった。

危機感を持っているのは、社会から企業、組織に寄せられる社会的要請が時代とともに変化していく中、それらを生協の組織がどのように受け止めていけるかということ。また、グローバル課題の対応が求められる社会になってきたが、ここにどう関わっていけるかがいま問われていると思う。

今日の問題提起としては、生協組合員の気づきをどう引き出せるかということ。そこをうまく動かして問題のテーマを進めていけたらと思っている。

【B:ビジネスと人権に関する指導原則】
●寺中 誠さん(東京経済大学 非常勤講師)/白石 理さん(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター 会長)

(寺中 誠さん)
2000年以前に主流だった、国家が人権を侵害する、そして国家を何とか変えていこうというアプローチががらっと変わり国家の位置づけが難しくなってきた。NGOが国家への追及を緩めた結果、国家が肥大化していろいろなことをやり始めた側面も実はある。また、企業は国家ではないので、国際法の縛りを直接は受けないのが実は問題でもある。

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」について。日本では企業の尊重責任だけの問題だと考えられているが、実際には国家の保護義務の方が大きい。また、要となるのが国内人権機関で、全体的に国内で実施をするのは国内人権機関の担当なのに日本にはこれがない。国別行動計画すらもまだ作られていないが、国別行動計画だけを先に作ろうとしている点が危険でもある。

CSRというのは、良い企業を促進することではない。社会貢献、BOPビジネス、攻めのCSRという言葉はよく使われるが、これらは目的ではない。また、悪い企業を規制するべきということ(リスク管理、処罰、新自由主義批判)も目的ではない。「ビジネスと人権」というかたちで「指導原則」が作られている理由は人権侵害を除去することにほかならない。人権侵害をなくす、そして被害者を救済する、これがあくまでも目的であってCSRや「指導原則」はあくまで手段でしかない。

我々は目的を見失わないようにしましょう、というのが私からのとりあえずの提言である。

(白石 理さん)
日本も昨年、国連のビジネスと人権フォーラムで国別行動計画を作りますと言明したが、それができるかどうか。一方、改めて条約を作って、そこで新たに企業に関する法的義務を課すべきという考えがだんだん強くなってきたが、国別行動計画は、国によってそれぞれ制限を設けたり、自主的な行動を企業に促すようなできるところからやろうじゃないかということ。いろいろな法的な整理も必要だが、企業が自主的にやってやれないことはない。

【C:社会的責任調達(ISO20400)】

●大川哲郎さん(株式会社大川印刷 代表取締役社長)

環境配慮や地域貢献を重視した横浜型地域貢献企業支援事業の認定企業は地域的なCSR認定としては日本で初めて立ち上げたもので、現在認定企業は400社以上。認定されると低金利融資、通常は3年に1度しかない助成金が認定企業は毎年受けられるなどさまざまなメリットがある。

認定企業が集まってディスカッションしながら新しい事業をやってみようというような良い面もあるが、行政が認定を入札の条件にしてしまった結果、CSRは目的なのに手段になってしまった面もある。戦略的CSR、事業を切り口とした特徴あるCSRというところが実は目的だったのではと感じている。

会社としては、印刷業はなくなっていくのでは?と思われがちだが、印刷業界はすべての業界、業種と取引があり、ものづくりの前に「こと」づくりとして、企画の部分から地域の課題解決に入っていけるようになってきている。また、調達の部分ではグリーン購入を行ってきていたり、障がいの有無にかかわらず読み易くわかりやすい印刷物を提供する情報保障や、すべての印刷物をCCDカメラで検査をしていくことによって品質保証をしていくといった取り組みをしている。

カーボンオフセット注文した印刷物に関してはCO2ゼロ印刷の表記もできる。これからはオリンピックに向けて、SDGsと絡めてチャンスだと思っている。

 

第2部:SRカフェ

NNネット恒例のSRカフェ。今回は3つのトピック別に登壇者と参加者が分かれ、意見交換を行いました。平日夜の遅い時間帯であったにも関わらず、活発なネットワーキングの機会となりました。

最後に各グループからのコメント報告を経て、尽きない議論は年間で予定されているトピック別セミナーで続けることとして閉会となりました。みなさん「本編」にもぜひお越しください。

以下、SRカフェでの議論の紹介です。

A:持続可能な開発目標(SDGs)

生協がどうSDGsに取り組んでいるかという話の中で、SDGsをどう自分ごとにするかといった話が出たが、言葉としてはわかるものの、実はそれが一番難しいという話を板谷さんからいただき、組合員を起点にしている生協だからこそ、トップダウンではないかたちでしっかり自分ごと化してもらうことが大切、しかしそれは難しい、といった話をした。
そのほか、今のこのタイミングではSDGsをツールとしてまずは使ってみることができる、またSDGsを他セクターとの共通言語にできることが希望としてある、といった議論をした。

B:ビジネスと人権

人権侵害という現実を改善するためにはどういう方法がよいのかということが大切で、ソフトロー、ハードローという分け方以前に、今の状態を改善するという目的のためにはどうしたらいのかという発想をしなければいけないという話でまとまった。
LGBTについては、LGBTという言葉は権利化をしてしまうことになるという議論からあまり使われない国連の中では、SOGIと言われているという話の紹介があり、企業に対して、ソフトな方法で対話をしながらやっていくことも必要という議論になった。
また、日本にはない国内人権機関について。国別行動計画を国内人権機関が中心になって実施を担うことも海外ではあるという話があった。

C:社会的責任調達(ISO20400)

法制化されるとやらなければいけないということになる。また、われわれ市民団体が、他の国は何をしているのかについて調査する役割があるという話をした。
一方、大川社長へ「売り上げにつながりますか?」という質問があったが、「即効性があるかというとわからないが、自分の会社や会社の取り組みに対して従業員が自信をもっている」という答えがすばらしかった。
やらされ感で考えるか、ポジティブに捉えられるかどうかの違いだと思うので、ある意味ハピネスを向上するために取り組みをしている、というかたちで取り組めていけたらよいと思う。

【ご案内】NNネット連続SRフォーラム2017

●2017年7月18日:持続可能な開発目標(SDGs)①
●2017年9月19日:持続可能な開発目標(SDGs)②
●2017年11月21日:社会的責任調達(ISO20400)
●2018年2月20日:ビジネスと人権

 

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